ガリレオシリーズとしては初の長編となるため、期待の大きさも一層のものがありましたが、得られた感動はそれを上回りました。
湯川學(xué)が初めて登場した『探偵ガリレオ』は、東野圭吾さんが、「自分の持っている理系の知識を駆使して小説を書いてみたいと思っていた(著者の一言コメントより)」事から誕生した連作短編集です�？茖W(xué)にはとんと無縁な脳には、ただあんぐりとするばかりの世界が広がりましたが、分かり易い表現(xiàn)に助けられて、面白楽しく読み進(jìn)める事ができました。
続く『予知夢』では難度が幾分か引き下げられ、「オカルトを暴く」という事がテーマになりました。こちらも、興味深い話題に心躍らせながら、ページをめくって行きました。
『容疑者Xの獻(xiàn)身』では、前二作の核をなした「科學(xué)」は登場しません�！柑觳艛�(shù)學(xué)者」と稱された男性を中心に展開する物語だからです。
その代わり―、という表現(xiàn)が適切かどうかは分かりませんが、丹念な人物描寫が行われています。短編集では味わう事が適わなかった深い感慨が、突如として降り注いで來る物語でした。
伏線が公明正大であるために、草薙刑事は言うに及ばず、ガリレオ先生をも先んじた推理力を発揮する読者も少なくないでしょう。
けれどもそれは、P≠NP予想における、P?NPをを明らかにしたに過ぎません。本當(dāng)の証明は、そこから始まる新たな物語の中にあります。
私はガリレオシリーズで初めて泣きました。 作者簡介
天才數(shù)學(xué)者でありながら不遇な日日を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、二人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理學(xué)者の湯川學(xué)が、その謎に挑むことになる。
ガリレオシリーズ初の長篇、直木賞受賞作。
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